令和3年度【第九回】鈴張神楽団

 鈴張神楽団は、昭和26年に地元の有志によって結成されました。

 結成当初より衣装や道具などは全て地元の方々の寄付によって支えられ、毎年秋に行われる

宮崎神社での秋祭りを中心に、地元に根づいた活動を行っています。

 近年になり、若い団員も増え、新たな世代交代を向かえている「今」、

神楽奉納を通して神楽に息づく先人達の思いを受け継ぎ、後世へと伝えていけるよう、

団員一同精進したいと思います。

 平安時代中期。清和源氏の嫡流である源頼光は、勅命を奉じ、郎党渡辺綱を連れ立って、東国

山賊征伐の旅に出陣しました。

 折しも越後上路山に差し掛かった頃、丁度日も西の山に傾き、夕闇に足を止められました。

 宿りを求めるべく、辺りを探せば、山頂と思しき所に山家の明かりを見つけ、

一夜の宿を求めます。

 山家より一人の老婆が現れ、丁重に招き入れられ、一夜の宿を得ます。

 夜も更けた頃、老婆は、頼光主従を招いた部屋の様子を伺い、何者かを招き入れます。

「如何に怪童丸、怪童丸~」

 斧を片手に現れたのは、老婆の一子にして怪童丸。老婆こそ、

上路山を根城とする山賊、山姥でありました。。

 寝込みを襲われた頼光主従でしたが、一瞬の機転で、打って出ます。

 深夜の乱戦の形勢不利に一度は、わが子を見捨てた山姥でしたが、

わが子の危うきに立ち戻ります。

 頼光たちの武勇に尋常一様の者でないと察した山姥は、怪童丸をその家臣の末席に加えて

くれるように頼み、代わりに、その一命を差し出します。

 しかし、頼光は、その命を助け、怪童丸を自らの郎党に加えます。

 後の世に「頼光四天王」の一人と語られる「坂田金時」の誕生です。

陸奥のしのぶ文字ずり たれゆえに みだれそめにし われならくに

 

山姥と怪童丸の親子の別れのシーン

 

 平安時代。近衛天皇の御世の事、毎夜丑三つ時に大内裏の東三条ヶ森より黒雲が湧き出で、

紫宸殿の屋根を包み、近衛天皇が、時同じくして得体のしれぬものに怯え、悩まされるという

事件が起きました。

 官女『楓姫』は、御門の心を和ませんと内裏を挙げての宴席を計画し、都一番の料理の名人

『猪早太』を呼び出します。

 大鯛をさばき、料理の最中、化生の鵺が現れ、早太と格闘になります。

 薙刀片手に楓姫が助けに駆けつけますが取り逃がしてしまいます。

 その様子に一連の事こそ妖の仕業との楓姫の報告を受けた頼長は、先例に習い源氏の武士に

払わすべしとの公卿会議の決定を受け、源氏嫡流頼光の流れを汲む『兵庫頭源頼政』を指名、

頼政は、真夜中の内裏に向かいます。

 湧き出た黒雲の中にただならぬ気配を感じた頼政は、一念込めて、

弓矢を引き絞りこれを打ち抜きます。

 尋常ならざる叫び声を上げ飛び出した者こそ、

「牛の体に猿の頭を持ち、手足は虎にして、尾は蛇の姿」という化生

『鵺(※本字は、空に鳥)』であったという。

 格闘の末、頼政は、これを討ち取り、御門の病も見事快癒に向かい、この功績に頼政は、

御剣『獅子王』を下賜されました。

ほととぎす 名を雲井に あぐるかな 弓張り月の 射るに任せて

 

鵺の元気な立ちまわり

 

 

 

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