令和4年度【第二回公演】鈴張神楽団「山姥」・「戻り橋」

 鈴張神楽団は、昭和26年に地元の有志によって結成されました。

 結成当初より衣装や道具など全て地元の方々からの寄付によって支えられ、毎年秋に行われる

宮崎神社での秋祭りを中心に、地元に根づいた活動を行っています。近年になり、

新たな世代交代を向かえ、神楽奉納を通して神楽に息づく先人達の思いを受け継ぎ、

後世へと伝えていけるよう、団員一同精進したいと思います。

 

 平安時代中期。清和源氏の嫡流である源頼光は、勅命を奉じ、郎党渡辺綱を連れ立って、

東国に山賊征伐の旅に出陣した。

 折しも越後上路山に差し掛かった頃、丁度日も西の山に傾き、夕闇に足を止められた。

 宿りを求めるべく、辺りを探せば、山頂と思しき所に山家の明かりを見つけ、

一夜の宿を求める。

 山家より一人の老婆が現れ、丁重に招き入れられ、一夜の宿を得る。

 夜も更けた頃、老婆は、頼光主従を招いた部屋の様子を伺い、何者かを招き入れる。

「如何に怪童丸、怪童丸~」

 斧を片手に現れたのは、老婆の一子にして怪童丸。老婆こそ、上路山を根城とする山賊、

山姥であった。

 寝込みを襲われた頼光主従であったが、一瞬の機転で、打って出た。

 深夜の乱戦の形勢不利に一度は、わが子を見捨てた山姥であったが、

わが子の危うきに立ち戻る。

 頼光たちの武勇に尋常一様の者でないと察した山姥は、怪童丸をその家臣の末席に加えて

くれるように頼み、代わりに、その一命を差し出す。

 しかし、頼光は、その命を助け、怪童丸を自らの郎党に加える。

 後の世に「頼光四天王」の一人と語られる「坂田金時」の誕生である。

 

      陸奥のしのぶ文字ずり たれゆえに みだれそめにし われならくに

 

 山姥と怪童丸の別れの場面

 

 都の闇には、人に非ざるモノが跋扈する。

 都人は、夜の闇を恐れ、闇の帳にまつろわぬ異形の者の姿を見つけた。

 都の守りの要「摂津の守 源頼光」は、都に現れる怪物を退治させるべく、

自らの家臣の中で、その武名で知られた「四天王 渡辺源吾綱」を一条戻り橋へと向かわせる。

 綱が辻堂に怪しき気配を感じ、乗り込めば、旅の老婆が一人身を震わせる。

「修行の旅の者にございますが、折り悪しく病を得て、これに休んでおるものでございます。」

 老婆を不憫に思った綱は、自らの屋敷にて養生せよと案内する。

 道中、言葉を交わす綱と老婆だが、綱の身の上を知ると薄ら笑いを浮かべる老婆。

 その正体こそ、「丹波国大江山の鬼神 茨木童子」であった。童子は、綱を打ち倒し、

大童子「酒呑童子」の酒肴とせんと、掴み掛るが、石清水の神のお告げにより、加勢に現れた

坂田金時と綱の前に左腕を切り落とされ、復讐を誓い、大江山へと飛び去って行くのである。

 

団員を常に募集しております。

興味を持たれたら、練習を一度見学に来てみてください。

 

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