≪公演終了≫令和5年度【第七回特別公演】上中調子神楽団・大森神楽団

上中調子神楽団はおよそ70年前、上中調子地区で活動を行っていましたが、時代が昭和に

入り、戦中・戦後の混乱に昭和18年の大水害や20年代の太田川改修工事による高瀬の浜・

土手筋地区の全面立ち退きや恵比寿神社の立ち退き移転・神楽衣装の老朽や廃棄などが加わり、

休止の状態が続いていました。

平成19年から22年に地域の皆さんと話し合いを続け、「上中調子神楽団を皆で復活する事、

そして、子どもたちにマナー、礼儀などを指導していこう」と、平成22年2月から少人数で

毎週月曜日・水曜日の19時半から21時まで練習をしています。

これからも精進して参りますので、応援の程、よろしくお願いいたします。

1演目目の「嫗山姥(こもちやまうば)」については、山姥である八重桐(やえぎり)と、

その一子怪童丸(かいどうまる)との最後の別れの場面まで、お愉しみいただければ幸いです。

まだまだ、未熟で御見苦しい所があろうかと思いますが、どうか温かいご声援賜りますよう

お願い申し上げます。

東国凶賊平定の勅命を受けた源頼光と主従は、駿河・相模の国境である足柄峠に差し掛かり

ます。

その足柄山には以前から山賊が出ると恐れられておりました。ちょうど日も沈み辺りは暗く

なり雨も降ってきたため、一夜の宿をかりようと宿を訪ねます。

その宿主こそ、院御所に仕えていた北面の武士・坂田蔵人時之の妻・八重桐であり、時之を

病で亡くした後、時之の忘れ形見の一子怪童丸とともに都から追われる身となり、八重桐は

鬼姥となり、怪童丸とともに足柄峠で悪い噂となった山賊だったのです。

頼光達は次第にその宿主が鬼姥とわかり、征伐するべく戦いとなりましたが、相手が

頼光だと知った八重桐は頼光に命乞いをし、怪童丸を家臣の一人にしてもらうよう頼みます。

その後、八重桐は安住の地を求めて足柄山を去り、怪童丸は坂田金時と名を改め、頼光達と

ともに東国平定に向かう物語です。

東の国の新皇を名乗った平将門は、天慶の乱で藤原秀郷・平貞盛の軍に敗れ去ります。

平将門の娘・五月姫は、父の怨念を果たす為、貴舟の社に「願」をかけ、満願と共に貴舟の神

より妖術を授かります。五月姫は、名を「滝夜叉姫」と改め、父の因縁の郷、下総の国・相馬

の地に立ち戻り、多くの手下を従えて反乱を企てます。

陰陽師・大宅中将光圀らは、姫征伐の朝命を奉じ、下総の国へと向かいます。

陰陽の術と邪心の妖術の激しい戦いとなりますが、滝夜叉姫の朝廷に対する復讐は成らず、

無惨に敗れ去っていくという物語です。

大森神楽団は、明治の初期から氏神社である大森八幡神社(広島市佐伯区湯来町伏谷)の奉納を

第一義として活動してまいりました。

台風による災害時を除いて奉納の伝統を守ってきたことは私どもの誇りです。

また、神楽の可能性を求めていく過程において幸いにも、様々な行事に奉納する機会を得ること

できるようになり、大変感謝いたします。

古き良き神楽の伝承にも心を配りつつ、地域に根付いた神楽団として先輩たちの神楽への熱い

情熱を良き伝統として引き継ぎ、『大森神楽団』を皆様にお届けしたいと考えております。

今回上演します、「鈴鹿山~三明の剣~」は、鈴鹿や田村といった演目を大森神楽団独自の

解釈で構成した演目となっております。

舞の所作、台詞、楽等の違いを楽しんで頂ければと思っております。

桓武天皇の御代、伊勢と近江の国境にある鈴鹿山にて非道の限りを尽くし民を苦しめていた

大鬼神大嶽丸と、帝の命を受け大嶽丸討伐に立ち上がった坂上田村麻呂、鈴鹿山で出会った

女性鈴鹿御前の戦いを神楽化したものです。

坂上田村麻呂軍に対し大嶽丸は雷鳴を轟かせ、火の雨を降らせ、互いに討ち取れず数年に渡って

戦いは続いていました。時同じくして、鈴鹿山に天下った鈴鹿御前という天女がいました。

鈴鹿御前に恋い焦がれている大嶽丸は、美しい男子に変身し毎夜通い詰めるも思いは叶わず業を

煮やしていました。

そんなある日、田村麻呂は老人のお告げにより、鈴鹿御前と出会います。実は鈴鹿御前は

大嶽丸討伐の手助けをするために天下っていたのでした。

鈴鹿御前によると、大嶽丸は阿修羅より授かった「三明の剣」という剣を持っており、その剣を

持っているうちは大嶽丸を倒すことは出来ないという事でした。「三明の剣」とは、

「大通連」「小通連」「顕明連」という三本の剣のことをいいます。

2人はまず、大嶽丸から「三明の剣」を奪うための謀事を考えます。

鈴鹿御前は大嶽丸の屋敷へ行き、「田村麻呂という武将から命を狙われていて、身を守るために

貴方の武器をお貸しください。」と言い、首尾よく「三明の剣」の「大通連」「小通連」の

2本の剣を奪います。

そこに身を隠していた田村麻呂が現れ大嶽丸と戦いとなります。

大嶽丸は神通力を用いていくつかに体を分身させると、田村麻呂も千手観音と毘沙門天のご加護

もって、お互いに激しい攻防を繰り広げ、最後は田村麻呂の「素早の剣」によって見事大嶽丸

退治します。

物語はここまでですが、この戦いによって首を討ち取られた大嶽丸は「三明の剣」の一つ

「顕明連」の神通力によって再び鬼神となり、また災いをもたらしていくのです。

この大嶽丸こそ、酒呑童子、金毛白面九尾の狐玉藻前と並ぶ日本三大妖怪のひとつとして

恐れられています。

奥州会津の生まれで大自在天魔王

の血を受け継ぐ更科姫は都に出て

源家を滅ぼし魔国にしようと

しましたが、陰陽師に正体を

見破られ信州は戸隠山へと追

やられ、奥山に住みつき庶民に災い

為しました。

鹿狩りに出掛けた平維茂主従は道中

紅葉狩を楽しみながら奥山へと

向かいます。

維茂主従の動向を察知した更科姫

は、麗しき女人に姿を変え山中で

紅葉狩りの酒宴をはり、維茂主従を

その酒宴に誘い込み、酒に酔い伏し

た維茂主従の命を狙おうとします

が、八幡大菩薩が現れ、女人の正体を告げ神剣を授けます。

神剣を授かった維茂は八幡の神の威徳をもってめでたく鬼女を成敗するという物語です。

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