

広島県北部の北広島町の豊平地域に籍を置き、琴谷天日(ことだにてんにち)神社と
庄原八幡(しょうばらはちまん)神社を守護神として崇拝し、活動する神楽団です。
高宮町の神楽団より習い受けた従来の神楽を伝承するとともに、現在では、舞台芸能としての
神楽にも取り組んでおり、平成17年には後に世界遺産となった「奥州平泉」を、
また平成22年には広島県の世界遺産「宮島」を題材とする創作神楽「厳島」をつくり発表
しました。
いつまでも初心を忘れる事なく、挑戦する気持ちを持って皆様の声援を何よりの励みとし、
精進してまいりたいと思います。

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平安時代中期、天慶(てんぎょう)の乱において平貞盛、藤原秀郷により、無念の最期をとげた
平将門の娘、五月姫は父将門の無念を晴らさんと貴船の社に祈願をかけ、その満願の日、
貴船の神より妖術を授かり、名を滝夜叉姫と改めました。
その後、下総は猿島(さるしま)の地において、多くの手下を集め朝廷にそむき天下に災いを
なしたため、朝廷により勅命を受けた大宅中将光圀らは、下総に向かい陰陽の術をもって
これを征伐するという物語です。

本演目は、当団が「同好会」であった時代に地元の神楽団より伝授され、約40年前に
安芸高田市の原田神楽団より改めて師事した、琴庄神楽団にとって極めて歴史の深い
大切な演目です。
私たちは、五月姫が逃げ延びたと伝わる福島県いわき市の「惠日寺」を実際に参拝いた
しました。
五月姫の墓(土饅頭)を前に、彼女が生きた証を五感で受け止め、その悲しみや情念を
団員一同の心に深く刻み込みました。五月姫の揺れ動く心情を想像し、
長年磨き上げてきた独自の演出にご注目ください。
ドライアイスや花吹雪、そして面や衣装の使い分けにより、物語の背景にある情景や
登場人物の感情を豊かに表現します。一瞬たりとも目が離せない、息をのむような
舞台空間をお楽しみください。
滝夜叉姫が纏う衣装(片切)には、特別な仕掛けが施されています。全国的にも珍しい「二重
の片切」により、一演目の中で三つの異なる柄へと変化します。
1回目の変化: 凄まじい決意とともに戦いへと向かう場面
2回目の変化: 激闘の末に敗れ、成仏へと向かう最期の場面などをお楽しみください。

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平安中期、京の都は、長雨、疫病、盗賊の横行など不穏な世情が続いていました。
都(みやこ)羅生門で渡辺綱に茨木童子の左腕を切り取られた酒呑童子は子分可愛さの念に
惹かれ綱の乳母白妙の身体に取り入り、自らがその白妙に化けて綱の屋敷に入り込み、ついに
その腕をとりかえしてしまうのです。
綱は主君頼光の助けを得てこの妖鬼(ようき)と戦うのですが、鬼達は虚空飛天(きょくうてん)
の妖術で、大江山へと飛び去って行くと言う物語です。

当神楽団独自の解釈に基づき、次のような構成で舞い上げます。
酒呑童子が乳母・白妙(しらたえ)へと巧みに取り入る様子、正体を見破ろうとする渡辺綱との
緊迫した口上のやり取り、そして白妙から恐ろしい酒呑童子へと変貌を遂げる場面が
見どころです。
演者の動きと口上から、それぞれの感情の機微を感じ取っていただければ幸いです。